寒空の下、目黒駅まで自転車を漕ぐ。そこから山手線で品川駅まで。さらに歩いて、原美術館へ。ピピロッティ・リストの個展「からから」に行ってきました。
学部の講義で、ふわふわのワンピースを着た若いきれいな女性が鼻歌を歌いつつウキウキ歩きながら、道に並んで停まってる車の窓ガラスを、手に持った長い花でガンガン叩いて割っていく、という映像作品を見たことがあるだけ。雑誌とかでなんとなく見たことがあるけれど、体感した事はなかった、ピピロッティ。
個展とはかくあるべきだ、というくらいのクオリティの高さでした。どの作品も、とても強い。ぐっとくる。しみ込む。そんな感じ。
最初の展示室の映像は、まあこんなもんか、って感じ。気を抜いて歩いていたら、次の展示室に入った瞬間、泣きそうになりました。初めて高木正勝さんの映像を見たとき(MOTアニュアルたぶん2003)と同じ感覚。天井から、葉が落ちた木が2つ。枝には、テグスで結んだプラスチックの透明な容器がいくつかぶらさがっている。プロジェクターからそれらのオブジェに向かって映像。部屋の奥にはまどろむ色彩と影。なんとなくなつかしい空気。床に座って、ひたすらぼーっとしてた。すごく気持ちよかったです。「ダイヤモンドの丘の無垢な林檎の木」っていうタイトル。
続く色んな作品も、ちょっとした仕掛けと、ビビッドな色彩と、澄んだ空気と、ちょっとグロテスクな女性の感情とが混じった、奇麗なものたちでした。最後に、車窓ぶっこわし映像(タイトルは「エヴァー イズ オーヴァー オール」でした。)。
展覧会、以前は「考える」だったけど、最近はもっぱら「感じる」ものになっている。コンセプトや背景はさらっと流し読み。自然と、皮膚で触れている。
今回展覧会を見て、思ったことは二つ。一つは、女性性、女性特有のなんかあの感じ(うまく言えない)について。これはまた機会があれば。もう一つは、自分が好きな色彩や、質感について。ピピロッティ・リストの色使いはとても好きだった。色と質感が好きなのは、高木正勝、スーザン・チャンチオロ、コズミックワンダー、ジュン・グエン・ハツシバ、秋山さやか、塩田千春(ガラス窓のシリーズのみ)など。乾いた地面に水が数滴、的な感じが好きみたい。
距離を縮めて深く潜れば、大抵のものは良いポイントが見つかって、結果好きになるのだけど、一瞬でぶっ飛ぶような、ふわっと抱きしめられるようなあの感じは、なかなか体験できませんからね。あの瞬間だけは言葉にならないんだよなあ・・・。

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